Vestige

宮川和治 / Kazuharu Miyagawa

Vestige

2015.3.24 (tue) – 3.29 (sun)

Open 12:00 – 19:00


養蚕農家の家には屋根に越屋根(こしやね)という換気口の小窓のついた小さな屋根がついている。蚕室内の通気を良くして蚕を健康に育てる。先人たちの知恵である。それはどれも個性的で眺めていて飽きない。しかし、現在越屋根を本来の目的で使っている家はほとんどないだろう。越屋根は、ヒトにとっての尾骶(びてい)骨のようなものだ。ヒトの尾骶骨は体内にあるので日常目にすることはできないが、越屋根は誇らしげに家の一番高い所に付いている。その姿はかつて国を支え家を助けた威厳と、本来の役目を終えながらも日々の暮らしを少し遠くから見守る親心を感じ、目にするとほんの少し心が温もる。

宮川和治

Profile
1972年 神奈川県横浜市生まれ。
2013年 約20年間のサラリーマン生活を経て、専門学校東京ビジュアルアーツ写真学科に入学。
2015年 同校卒業