大須賀 馨 / Kaoru Ohsuga
Untitled human
2023.11.7 (tue) – 11.19 (sun)
Open 12:00 – 19:00
この世界は小さな箱のようなものだと思っていた
出口のない真っ暗な空間で、自分の存在を主張するように必死に踊っていた
13歳の時、車に轢かれた
気づいた時には病室のベットの上だった
友達と公園を出たところまでは覚えているが、そこからの記憶が切り取られたように吹き飛んでいた
鏡で自分の顔を見た時、笑ってしまった
「誰だよこれ(笑)」
状況を飲み込もうと必死だったのかもしれない
それでも何かから解放された、違う自分になれた気がして嬉しくなった
そこからしばらく不思議なことが起こった
人の顔がわからない
目の前にいるし声で誰かはわかる
けど、ピントが合わないわけじゃなく、焦点が合う場所に無数の斜線が刻まれていた
この人誰なんだろう
そこからは人の見方がおかしくなった
人を認識する時、周囲の情報で人物像を補う
そんな状況が当たり前になった
そうなると、人を認識する時に、周囲の情報がどれほどの影響を与えているか気になった。
対象以外を黒く塗り潰すと、それらはオブジェクトと化した。
そこに映るものは皆同じ、等価値になった。
人とはなにか
自分も人のくせに、その答えがわからないでいる。
私たちは周囲の情報に生かされている「無題の人間」なのかもしれない。
大須賀 馨