宛超凡 / Wan Chaofan
帰去来 / The Return
2025.4.15 (tue) – 4.27 (sun)
Open 12:00 – 19:00 Closed Mondays
コロナ禍の影響で帰省できなかった私は、2023年に4年ぶりに実家に戻った。新しい道で車に乗っていると、車窓の外の景色は見慣れないものだった。2008年から、故郷は高層住宅が増え、郊外には新しい工業地帯ができ、新幹線の駅も建設された。しかし、私の故郷の印象は、変わらず3本の主道路と5階建ての団地が並ぶ小さな町のままだった。故郷の変化についていけない私は、カメラを手に街を歩き、現在の町ではなく過去の姿をファインダー越しに探していた。写真を通じて、もう一度故郷と繋がりたかった。
2023年の帰郷は、叔父の命日と重なった。回族の私は、命日には家族と共に白いキッパーをかぶり、村で同じようにキッパーをかぶる人々を見て、子供時代を思い出した。村は都市とは違い、ほとんど変わっていなかった。回族の写真を撮った後、私は民族を通じて故郷固安县とのつながりを感じた。故郷は変わったが、そこに住む人々は変わっていなかった。人と人とのつながりだけが、私と故郷との絆となった。




宛超凡
1991年中国河北省固安県生まれ、2013年西南大学卒業、2017年明治大学政治経済学研究科修士課程修了、2021年東京藝術大学美術研究科博士課程修了。
写真集に『水辺にて』(2016)、『河はすべて知っている——荒川』(2022)がある。また、第44回写真新世紀・優秀賞(2021)や第24回三木淳賞(2023)、さがみはら写真新人奨励賞(2023)などを受賞。宛超凡は「人と風景」というテーマで写真作品を作っている。