取るに足らないくもの力学

ギャラリーメンバーの田凱が2021年8月19日(木)~9月12日(日)の会期で、東京目黒区に位置するふげん社で展覧会を開催します。盛夏の中ですが、ご来場いただけますと幸いです。展示詳細は以下のとおりです。

田凱 / Den Gai

取るに足らないくもの力学

2021.08.19 (Thu.) – 09.12 (Sun.)

カタストロフィーやウイルスが、ポテンシャルエネルギーを伴って反復、時につれて、我々個々の記憶を集団化させようとする。しかし、その経験と記憶はやがて希薄させていくのが常である。3.11以降に写真を撮り始めた私が、撮影する社会状況の中へ身を置くことを意識し、合間を縫い合わせるように写真を撮る。生きられる身体は、物質の塊としての性質と、現実を知覚し現実世界で行動する媒介としての性質も持つ。身体の延長としてのカメラが、あえて重くて操作繁雑なものを使った。身体の物質的ベースを増加させ、鈍くて思うように撮れないのは、写真というメディウムの本性でもある。写真の記録は、植物も、都会風景も、人物も、表層的な質感が等しく、カメラという機械に捉え、普遍的なもの、特殊的なもの、未分化のまま並置されているのを感知するのである。写真のフレームに囲まれたのは、躊躇、不安定、何か起こりうるような事象。フレームの外に離散する無意識の情報も、機械に明徹に記述され、理解可能にしてくれる。同時に、理解不可能なものも現れになる。

写真は撮るにつれ、現実に近付けるほど近付けば、写真が記述したのは非現実であることを気付かせてくれる。

本展に出品した写真は、ただ、取るに足らない人間が、リアルの現実にミニマルな介入をして、差異を引き起こそうとするじわじわの一連の持続運動だ。

住所 〒153-0064 東京都目黒区下目黒5-3-12
営業時間 火-金 12:00 – 19:00  土-日 12:00 – 18:00 
休廊日 月曜日